KOTOKA

KOTOKA ブランド紹介


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奈良の靴メーカー7社が共同で立ち上げたプロジェクト「奈良発靴」奈良が日本有数の革靴の産地であることの認知促進や独自の靴づくりなどに挑んでいます。
日本料理のように素材を生かして、簡素さに美を込める。そうして出来上がった革靴KOTOKA(コトカ)革がやさしく足を包む履き心地になりました。助け合いながらも、独自の道で歩んできた奈良の靴たちを様々な形を作っています。




KOTOKA取材記


みなさん、「日本の革靴産地」ってどこの都道府県かご存じですか?

おそらくたいていの人は、言葉に詰まってしまったと思います。それもそのはず、現在の革靴市場は海外製が8~9割を占めると言われており、残念ながら日本製は少数派なのです。産地の認知度も、正直高いとは言えません。

そんな厳しい状況を打破しようと立ち上がったのが、日本の革靴産地のひとつである奈良県の革靴メーカーさんです。
KOTOKA
奈良県靴産業協同組合に所属する7社が集まり、2020年に革靴ブランド「KOTOKA」(コトカ)を共同でスタートさせました。
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日本の古都・奈良にふさわしい革靴を目指して。
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一枚革で作られた靴からは、日本ならではの美意識や価値観が感じられます。
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代表で案内してくれたのは、7社のうちのひとつ「オリエンタルシューズ株式会社」の取締役・松本英智さん(左)と、営業部マネージャーの亭良行さん(右)。

奈良の革靴産業の歴史を踏まえつつ、KOTOKAに込められた熱い想いから革靴選びのコツまで、いろいろとお話をお伺いしてきました。


KOTOKA誕生のきっかけ
「そもそも、組合に所属する革靴メーカー7社で定期的に集まっていたのが始まりなんです」と松本さん。
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「その中で『奈良県の地元の人にすら、靴産業ってあんまり知られていないよね』という問題意識があって。『ちゃんと靴産業をPRしていかないといけない』といろいろ相談した結果、ブランドをみんなでやってみましょう、ということになったんです」


革靴産地としての、奈良の歴史
もともと明治時代のころ、日本ではワラジや草履が一般的に履かれており、奈良県もそういった履物の生産が盛んでした。ところが、戦争が終わり洋装化が進むと、革靴の需要がどんどん増加。奈良の履物生産も、ワラジや草履から革靴へと移行していきます。

「最初は住宅街に工房が点在していたんですが、いよいよキャパオーバーになって。現在の靴工業団地ができるくらいまで、産業が発展していきました」
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しかし、アジア製の安価な革靴が販売されるようになると、日本の革靴産業は徐々に苦境に立たされていきます。

「この団地もピーク時には14社ほど靴メーカーがありました。加盟してない会社もいれると、ものすごい数の従業員がいたんですけど…今は半分の7社しか残ってないですね」と松本さん。


いい空気感の、7社だからこそ
そんな時代の流れの中、革靴産地としての奈良を知ってもらおうと立ち上がったのが今回のプロジェクトです。しかし「7社で集まって共同でブランドを作る」と言葉にするのは簡単ですが、7社それぞれ歴史も環境も異なる同業者。意見が合わなかったり、足並みが揃わなかったりといったトラブルはなかったのでしょうか。

「もちろん同じ得意先をもっているという意味では、7社それぞれライバルにもなるんですけど。でも会社同士の垣根とか、ライバル意識バチバチみたいなのは全然なくて。もともと定期的に集まっていたときから、和気あいあいとした雰囲気なんです」と笑顔で語る松本さん。
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「モノづくりのクオリティであったり、納期であったり。そういう部分を揃えるのが難しいだけで、みんなの意思を揃えるのに大きなハードルはなかったですね」

複数のメーカーが共同でなにかに取り組むとき、対立が起こって上手くいかないという話もよく耳にします。やはり7社がもともと持っている空気感が良かったり、日頃の関係性が良好だったりするからこそ、無理なくまとまることができたのでしょうね。


KOTOKAが形になるまで
ブランドを作ろうと決めた後は、どのような流れでKOTOKAが形になっていったのでしょうか。

「最初は自分たちの強みを生かす方向でビジネスシューズを考えていたんですけど、なんか今更なぁと思っていて。そしたら、途中から参加してくださった外部のプロデューサーの方が、今のKOTOKAのアイディアを提案してくれたんです。みんな『めっちゃいいやん!』『まさにそれ!』みたいな感じで盛り上がりましたね」
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提案されたアイディアをみんなで検討して修正を加えながら、最終的な靴のデザインを決定。その後は7社のうち、その靴を一番形にしやすい会社が生産を担当して進めていきます。



KOTOKAのコンセプト
「もし日本が西洋の靴を見ることなく革靴を作っていたら、どのようなものになっただろうか?」KOTOKAのブランド作りは、この問いから始まりました。

「『日本ならではの靴作りってなんだろうか』というのは、我々の根本にずっとありました。そこから、日本の素材の良さを余すことなく生かそうという発想に繋がっていったんです」
KOTOKA
そうして形になったKOTOKAは、シンプルな一枚の革を使ったデザインです。縫い合わせが極力ないように作られており、素材そのものを食べる日本料理のような価値観を感じさせます。


一枚革の個性を楽しむ
一枚革のデザインだからこそ、まっさきに目に入るのはその革の表情です。KOTOKAではデザインに応じて「栃木レザー」「たつの蝋引き揉みレザー」「姫路丘染めオイルドレザー」という、厳選された三種類の革を使い分けて靴作りを行っています。

「革って個性があるんです。生きた動物の皮膚なので、当然虫に刺された跡もあるし、シワもある。皮膚の下を通っている血管のスジまで残るんです」
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例えばドレスシューズの場合はキレイな仕上がりが求められるため、そういった革の個性は好まれません。点在するシワや跡をよけるためにパーツごとに細かく革を裁断し、縫い合わせて作ります。

ところが一枚革の場合は大きなパーツで作るため、そのようなシワをよけることができません。
「もう割り切って逆の発想というか。そういった革の個体差とか、不均一さとか、動物が生きてきた証っていうのは、捨てるんじゃなくて生かそうってことで作ってるんです」
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こちらの画像は、同じデザイン・同じ種類の革を使った靴ですが、右側は凸凹感(シボ)があって左側はつるっとしています。これが個体差です。革の表情が違うだけで、雰囲気もずいぶん変わってきますね。ちなみに、同じ靴の右足と左足で個体差があるとおかしいので、そこは職人さんが両足同じような表情を選んで揃えてくれます。


優しく包まれる履き心地
一枚革で作った靴は、独特の柔らかい履き味も魅力です。

「たくさん縫い合わせがある靴は、パーツとパーツを重ねるため生地が二重になって分厚くなり、履き味が硬くなります。でもKOTOKAはできるだけ縫い合わせないようにデザインしているので生地の重なりがほとんどなく、革の柔らかさとしなやかさが、ダイレクトに足に伝わってくるんです」
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私も実際に試し履きをさせてもらいましたが、初めて足を入れたときはびっくりしました。やはり革靴って少し硬いイメージがあったんですけど、KOTOKAは想像以上に柔らかかったです。


KOTOKAを代表する一足
KOTOKAの中でも特におすすめなのが「一枚革ダービー」。足指あたりに幅のある木型で作っているので、ゆったり履けるのが特徴です。
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革を柔らかくするために揉む工程で自然に生まれる、ナチュラルな凸凹感(シボ)が魅力の「栃木レザー」。カジュアルなデニムの足元に合わせると、カッコよく決まります。
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なめらかな革の表情が美しい「姫路丘染めオイルドレザー」。ややハリがある履き心地で、キレイ目に履くことができます。

同じデザインでも、使用する革が違うと雰囲気がかなり異なりますね。


革靴を選ぶときのコツ
ところで、革靴を選ぶときはどのような点に気を付けて選んだらいいのでしょうか。

「デザインは、自分の用途と生活スタイルに合うものを選びましょう。ただ、靴は選び方を失敗すると足の痛みにつながるので、デザインだけを優先せず、自分の足に合わないと思ったらやめる勇気も大事です」と松本さん。
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「サイズは、できるだけ無駄なゆとりがないように選んでください。幅、甲周りが当たって痛いようならダメだし、足が動くくらい浮いているのもダメ。かかとは、歩いたときにちゃんと食らいついてくるのがベストです。つま先は伸びないので5~10mmはゆとりがあって、ほかの部分はフィットしているというのが理想ですね」

KOTOKAの靴はWEBサイトでの販売がメインなので、「サイズ選びの目安」をよく読んで選びましょう。自分が普段履いてるスニーカーと比べて選ぶのがコツです。また、東京と大阪、奈良には、実際に靴を手に取れる展示体験コーナーがあるので、そちらで試し履きをすることもできますよ。


一足一足、想いを込めて作る現場へ
ここからは、KOTOKAの靴が作られている工場を見学させてもらいました。
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私が一番驚いたのは、想像していたよりも手作業が多いことです。
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「それぞれの工程で機械は必ず通るんですけど、それを操作するのにも人の手が必要ですし、設定やさじ加減っていうのも人の手が握っている。機械にのせてボタンひとつで自動的にできるという感じでは、まったくないですね」
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一足の靴を作るのに、かなりの時間と手間がかかっていました。
「一足が出来上がるまで、ちょっとした釘打ち工程まで入れると…だいたい100~200くらいの工程があるかな? 正確に数えたことはないんですけど(笑)」と松本さん。
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すべてはご紹介できないですが、ここからはざっくりと工程順にみていきましょう。
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まずは、一枚革を裁断していく作業から。
「抜き型を使って機械のプレス機で裁断することもできるんですが、KOTOKAの場合は、ひとつひとつ型紙をあてて裁断を行っています。目立つ傷がある場合は、裁断の時によけながらカットしていくんですよ」
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こちらはベロが縫われ、仮紐が通った状態。これを見ると一枚革で作られているのがよく分かりますね。
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柔らかい一枚革の履き心地を追求しているため、KOTOKAの靴はライニング(裏材)をつけていません。ですが、かかとだけはライニングとカウンター(芯材)を入れて、かかとを保護しています。
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中底を仮止めした靴型の上に、アッパーをのせた状態。ここから機械を使って革を引っ張りながら靴型に密着させて成型し、中底と革を固定させます。
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つま先部分は機械を使い、残りの部分は手作業で成型していきます。
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「靴型にぴたっと隙間なく革をつけて作らなければ、サイズ感の個体差が出てしまうんです。例えば、右がぴったりしていて、左が2mmでも浮いていたら『なんか左足だけゆるい』ってすぐ分かってしまう。靴は曲線がいろんなところにあるんで、細かいところまでバラつきなく成型していくのは、本当に難しい作業なんです」と松本さん。
社内でも、この作業ができるのは2人しかいないそう!
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成型した後に本底を縫い付けていきます。
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工業用の接着剤で、靴底ラバーをくっつけます。靴は体重を受けてものすごい力がかかるので、底剥がれが起きないようしっかり接着させます。
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他にもさまざまな工程を経て、ひとつの靴ができあがります。
普段何気なく履いている靴ですが、こんなにも多くの人の手を経てできているなんて知りませんでした。


KOTOKAの魅力を広めたい
KOTOKAは今後、どのように展開していく予定なのでしょうか。

「今はWEBサイトがメインなので、今後は取り扱い店舗をどんどん増やしていきたいですね。あと、KOTOKAはレディースもあるんですが、我々が男ばっかりでやっているというのもあって(笑)、女性に向けたアプローチがまだまだできていないので。そういったところも積極的に動いていきたいです」

そう力強く語ってくれた松本さん。最後にふと彼の足元を見ると…これはKOTOKAですか?

「そうです!一枚革ダービーの姫路レザーの黒。1年くらい履いています。黒が抜けて、地の茶色が見えてきてるんですけど、こういうヴィンテージっぽい抜け方がいいですよね」
KOTOKA
「よく『素材の味を味わう』って表現しますが、なにが楽しいかっていうと、ひとえに経年変化やと思うんですよ。色味が深くなったり、逆に僕の靴みたいに色が抜けて表情が出てきたり。均一な革と違って、履き込めば履き込むほど変化していく。それを楽しめるのがKOTOKAなんです」

例えば、無垢材でできた建物や家具、ろくろを回して作られる陶器など。
ひとつひとつに個性があり、年月とともに味わいを深めるものたち。

我々日本人が昔から愛してきた、そういったものとKOTOKAの靴は、どこか通じるものがありますね。
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長い時間取材にご協力いただき、ありがとうございました!








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KOTOKA ならやまサンダル

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