ブランド紹介

大西製作所


大西製作所  ブランド紹介

大阪のものづくりの町、東大阪市に拠点を持つ大西製作所。万年筆やボールペンに携わって65年以上、積み上げた歴史とノウハウから一生物の万年筆・ボールペンを全て手作りで作り上げます。




大西製作所 取材記



日本を代表するモノ作りの町・東大阪市。ここに、筆記具業界から注目を集める職人さんがいるということで、さっそく取材に行ってきました。今回お話をお伺いしたのは、大西製作所の代表・大西慶造さんです。
大西製作所
大西さんは、万年筆・ボールペン・シャーペンなどの筆記具を、一本一本手作りする職人さん。現代日本では貴重な存在として、その名が知られています。
大西製作所
大西さんが手掛ける筆記具は、生き生きとした鮮やかな色柄が特長。「文字を書く」という行為を、ぐっと特別なものに引き上げてくれます。年齢や性別問わず、プレゼントとしても喜ばれる逸品です。
大西製作所
昔ながらの手作り製法で生み出される筆記具には、どんな想いやこだわりが込められているのでしょうか。


会社設立は定年後から
大西製作所は、2010年に設立して今年で13年目を迎えます。創業当時、大西さんはなんと68歳! この年齢から一念発起して会社を立ち上げるというのは、なかなか大変そうですが…。

「15歳で業界に入って、それからずっと筆記具の世界に携わってきたからね~。生活のためですよ(笑)」
大西製作所
大西さんはたいしたことないように答えてくれましたが、約65年ものあいだ筆記具一筋で働き続けるなんて…。いくら生活のためとはいえ、本当に好きじゃないとできないことですよね。


15歳で飛び込んだ、筆記具の世界
もともと大西さんは、愛媛県の出身。学校を卒業した後に仕事を求めて大阪に出て、筆記具を製造する会社に就職し、住み込みで働いていたそうです。

「当時は私のような住み込みが、10人ぐらいおったかな。先輩がね、いつも朝早く起きるから、もう眠たくて眠たくてたまらんかったですよ(笑)。朝起きて掃除して、ご飯食べて、8時から18時まで働く。お休みは月に3回しかなかったね~」
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当時のことを懐かしそうに語ってくれた大西さん。週休2日制が当たり前となった今では信じられないような厳しい環境ですが、当時はそれが普通のことでした。若かりし大西さんは、ここでしっかりと万年筆づくりの基礎を学びます。


製造から販売まで幅広く経験
万年筆の需要が最盛期を迎えた頃には、台湾や中近東などの国々にたくさん輸出していたそうです。ところが、万年筆の素材がセルロイドからプラスチックに移り変わる頃には、輸出がほとんどでなくなってしまいます。
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「日本製の価格が高くて、合わなくなってきたんですよ。みんな自分の国で作れるようになったし、中国やインドみたいにもっと安価で作る国も増えてきたしね」

結局、最初に入社した会社は倒産してしまいますが、大西さんは長年の経験と知識を生かし、筆記具を販売する商社に入社。その後も筆記具業界に携わっていきます。


機械とともに想いも引き継いで
転機となったのは、65歳で定年退職したあと。知り合いに声を掛けられて「カトウセイサクショカンパニー」の加藤 清さんのところで、約2年ほど万年筆作りを手伝いました。

加藤さんは、日本国内だけではなく世界的にも広く知られた万年筆職人。そんな卓越した技術を持つ加藤さんのもとで、大西さんは研鑽を積みます。

「私も今までの経験からひと通りのことはできたんですけど、加藤さんもいちいち細かく教えてくれるわけじゃないからね(笑)。自分の目で見て、覚えていきましたよ」
大西製作所
加藤さんが他界したあと、カトウセイサクショカンパニーで使っていた機械や道具を大西さんが引き継ぎ、2010年に大西製作所を創業するに至りました。
もちろん機械だけでなく、万年筆に対する想いもしっかり受け継いだことでしょう。


筆記具の今と昔
筆記具も時代とともに移り変わっていきました。特に変わったものといえば、その素材。昔は下の画像のようなセルロイドが主流だったそうですが、今は筆記用具にあまり使われていません。なぜでしょうか?
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「セルロイドは、燃えやすい素材なので危ないんですよ。昔は工場でみんなタバコを吸ったりしてましたから、その不始末でよく火事になったりしてね…」

今はセルロイドに変わってアセテートやアクリルが主流になっているそうですが、筆記用具として使う上でそれぞれの違いってあるんですか?
「アセテートはメガネのフレームにも使われる素材です。頑丈なんで、足で踏んでも割れませんよ。でも、光があたるところに長期間置いてしまうと劣化してしまうので、注意が必要です」

アクリルはどうですか?
「アクリルは劣化しにくく、美しいツヤがいつまでも続きます。ただ割れやすいので、それこそ足で踏んだり落としたりしたら、バキッといってしまいますね」

ここで大西さんが、アセテートとアクリル、それぞれをハンマーで叩いてその硬さを比べてくれました。
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右側の青い軸のアセテートは、ハンマーで叩いてもまったくの無傷。ヒビひとつ入っていません! ところが、左側のカラフルな軸のアクリルは画像の通り、端っこが割れてしまいました。

正直、素人が見ただけではそれぞれの素材の見分けがつかなかったのですが、こうしてみるとやはり違いがあるんですね。自分の生活スタイルにあった素材をチョイスするのも、筆記具選びのポイントになりそうです。


職人にしか作れない筆記具
大西さんが手掛ける筆記具の特長としてまっさきにあげられるのが、透明感のある色や柄。特に素材がアセテートのものは、その美しさが際立って目を引きます。
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「アセテートを筆記具に使うのは、職人の技術と手間が必要なんです。機械による大量生産が難しいんですよ」
大西さんの作るアセテートの筆記具が唯一無二と言われる秘密が、ここにあります。

さらに、細かいパーツのひとつひとつにもこだわりが。例えば、ペンの真ん中につけるリングは、日本製のものに限っています。
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「金メッキなんで使っているうちにはげるのは避けられないんですけど、それでも日本製は品質がいいんですよ。海外製のなかには、手で軽くこすっただけではげるのもありますからね(笑)」

こういったパーツもすべて、大西さんが最適と思うものを選んでいるそうです。目利きの力がある、大西さんだからこそできることですね。


一本のペンができるまで
ここからは、製造工程をざっくりと追っていきましょう。昔は万年筆作りも分業で行われていましたが、今はそういった加工会社もなくなってしまったそうで、全工程を大西さんが手作業で行っています。

まずは、四角く長い軸材を裁断するところから始めます。この素材だけ見ると、これがペンになるなんて想像がつきませんね。 大西製作所
裁断した素材を、棒状に削り出していきます。ぶれずにまっすぐ削れるよう、機械のメモリを慎重に調整していきます。
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次は、ドリルを使って穴をあけます。画像だけだと機械がすべてやってくれるように見えますが、そんなことはありません。職人の目で細かく何度も調整したうえで、機械を動かしていきます。
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続いて、ペダルを足で踏んでろくろを回転させながら刃物を当て、よりなめらかに削っていきます。この作業こそ、本当にミクロの世界。頼りになるのは大西さんの“感覚”のみという、まさに職人技です。
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こういう特殊な形の刃物も、作っている会社がすでに廃業してしまっているそう。この道具も貴重なものとなってしまいました。
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軸の中央をとるのが難しいらしく、何度もハンマーで叩いて微調整を繰り返します。
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これはねじ切りといって、必要な部分にねじの溝を掘っていく作業。この溝がかみあわないとパーツがきれいにジョイントできないので、重要な工程です。
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仕上げにペーパーや機械を使って表面を磨き、ツヤを出します。その後、ペン先などのパーツをセットして完成!
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作業場には、たくさんの工具が並んでいます。特殊な形状の工具は「苦労して自作しました」と大西さん。こういったところからも、筆記具作りにかける情熱が感じられますね。
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ざっと紹介しましたが、まだまだこれ以上に細かい工程がたくさんあるそうです。それをすべて大西さん一人で行っていると知り、改めて尊敬の念を抱きました。


筆記具への愛は絶えず
取材中もずっと笑顔で応じてくださった大西さん。
G7広島サミットで各国首脳に贈呈された万年筆や、アメリカのトランプ前大統領が愛用した万年筆など、ニュースを見ていてもついつい筆記用具に目がいってしまうそうです。

「電車に乗っていてもね。みんな、胸ポケットにペンをさしてるでしょ。『ああ、この人は安物さしてるな』とか『これは高級品やね』とか、思わず見てしまうんですよ(笑)」
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どこまでも筆記用具愛にあふれた大西さん。その優しいお人柄が、大西さんの作る筆記具からもしっかりと感じられました。

ぜひ一人でも多くの方に、手作りならではの心地よさを味わってもらえたらと思います。
お忙しいところご協力いただき、ありがとうございました!









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