ブランド紹介

人水 / JINSUI


人水 JINSUI ブランド紹介

JINSUIは日本一の常滑焼の急須の産地と知られる愛知県常滑市にございます。 品質が非常に高く、最高峰の急須を作っている産地の一つです。 職人の世界では、お茶を愉しむ時間の事を「時わすれ」と表現します。 そんな特別な「時」を楽しんで欲しいと願いを込めて急須。 江戸時代に創業し、常滑の良質な土と巧みな技術を現代まで受け継いできたJINSUIの新しい物づくりが此処にあります。




JINSUI / 人水 取材記



急須の生産量日本一、国内シェア9割を誇るのは愛知県常滑(とこなめ)市。
人水 JINSUI  常滑焼 急須
知多半島の中部西岸に位置する海と山に囲まれた自然豊かな街で、人気の観光スポット「やきもの散歩道」は、「美しい日本の歴史的風土準100選」にも選ばれています。
人水 JINSUI 常滑焼 急須
そして、常滑市の伝統工芸品「常滑焼」は、瀬戸、信楽、越前、丹波、備前と並ぶ「日本六古窯」に数えられる由緒ある焼き物で、「日本六古窯」は、2017年に文化庁が日本遺産(※)に認定されています。「日本六古窯」の中でも「常滑焼」の歴史はもっとも古く、1200年以上も前の平安時代まで遡るのだそう。
人水 JINSUI  常滑焼 急須
今回は、そんな歴史ある常滑焼の急須を作る「株式会社人水(JINSUI)」の社長 渡邉さんに話を聞きに行ってきました。ブランドを代表するオリジナル急須「TOKI」シリーズは、強さと繊細さを兼ね備え、凛とした空気を纏う美しい逸品です。
人水 JINSUI  常滑焼 急須
この取材を通して、常滑焼の急須に興味がわき、急須でお茶を飲んでみようと思っていただけたら嬉しいです。
※「日本遺産(Japan Heritage)」は地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定するものです。ストーリーを語る上で欠かせない魅力溢れる有形や無形の様々な文化財群を,地域が主体となって総合的に整備・活用し,国内だけでなく海外へも戦略的に発信していくことにより,地域の活性化を図ることを目的としています。


独特な朱色が魅力の常滑焼
市内の人気観光スポット「やきもの散歩道」には、煙突や窯、工場などが点在。焼き物の壁や道が広がり、何とも不思議な景色を楽しむことができます。さらに、陶芸家の作品として招き猫が街のあちこちに展示され、焼き物コレクターはもちろん、写真愛好家や映えスポットとして若い世代の方からの人気も高まっています。
人水 JINSUI  常滑焼 急須
人水 JINSUI  常滑焼 急須
そんな常滑市の伝統工芸品が、独特な朱色が特徴の「常滑焼」。鉄分が多い陶土を使用することで、特有の朱色に焼き上がるのだそう。大きな壺や瓶、植木鉢なども生産されていますが、代表する製品と言えば急須。
人水 JINSUI  常滑焼 急須
お茶を飲むために使う急須はお湯を注ぐため、無意識に深さや軽さを求め、形やデザインは、どの産地、どのブランドでも大きな差がない。そんな印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
こうした代わり映えしない急須のデザインに一石を投じたのが、今回取材させていただいた株式会社人水(JINSUI)です。JINSUI「TOKI」シリーズの急須は、長い歴史で培われた使いやすさに加えて、現代の住空間や生活雑貨のトレンドに合うスタイリッシュさ、茶葉の広がり方、つまり、美味しいお茶の抽出まで考慮された、革新的なデザインが魅力です。
人水 JINSUI  常滑焼 急須


時と急須。時計とデザイン
「TOKI」シリーズは、株式会社人水(JINSUI)の渡邉さんが感性で作った急須で、時計の針をモチーフにした平たい形が特長です。カラーも、KINARI(木成り)・SHIROHAI(グレー)・SUMIKURO(墨黒)が展開されています。
人水 JINSUI  常滑焼 急須
「健康志向というのもあり、緑茶はクローズアップされていますよね。緑茶と急須はセット、日本の文化として急須を世界に提案したい。そして、伝統を現代に伝える手段として、今までの“THE急須”と差別化できる急須を作りたいと思い、取っ手と注ぎ口を秒針と分針に見立ててデザインした、“TOKI”を考えました。職人の世界では、茶を愉しむ時間のことを“時わすれ”と言い、時を忘れ、茶を飲み、そして、時を思い出す。そんな“時”を愉しんでほしいという想いを込めています」と、渡邉さん。
人水 JINSUI  常滑焼 急須
さらに、「平たいデザインにすることで茶葉が広がりやすく、陶製の茶こしの見た目は高級感もある。最近のインテリアに合わせてグレーも販売しています。釉薬を使っていないグレーはJINSUIだけだと思う」と、オリジナルシリーズ誕生の経緯とこだわりを教えてくれました。


クオリティに自信あり。象徴的な陶器の茶こし
「海外の人からは、“日本の物は長く使えるよね”と言ってもらえることがあり、この認識を薄めてはいけないと思っている」と、品質にも徹底的にこだわっている渡邉さん。
JINSUIの急須には、本体と一体化した陶器の茶こしがついているのですが、これを作る作業は実に複雑。渡邉さんも「他社で陶製の茶こし付きの急須は量産できません。品質の基準を満たさないものはすべて破棄している」と話し、作り手の技術への自信と品質を維持するためのこだわりが、ひしひしと伝わってきました。
人水 JINSUI  常滑焼 急須
JINSUIには「TOKI」の他にも、“THE急須”のサイズ感やデザイン、機能を活かしながらアレンジしたオリジナルシリーズ「IROIRO」があります。
人水 JINSUI  常滑焼 急須
このようなさまざまなデザインの急須を、何と1ヵ月で6,000個も作ることができるのだそう。
人水 JINSUI  常滑焼 急須
急須は、茶こし、取っ手、注ぎ口、蓋、つまみ、胴体と言われるパーツがあり、それぞれを成形した後に接合していきます。
人水 JINSUI  常滑焼 急須
さらに、常滑焼には、胴体と蓋をしっかり密着させるための蓋擦りという特徴的な工程があります。この複雑な工程は機械ではなく、すべて手作業で行われていることに驚くと同時に、しっかりとした生産体制が組まれていることに凄みを感じました。


創業は江戸時代。変化しながら成長して200年
常滑焼の伝統を守りながら、新たなことにチャレンジする渡邉さんは、実にユニークなキャリアの持ち主です。
「中学3年生の頃から服が好きでリメイクするようになり、ファッションの学校へ。その後、花に興味を持って1年間学校に行って、花の装飾を専門にする花屋を始めました。2006年頃ですが、飛び込み営業をしていましたね。服や髪型と同じように、“バランスを見ながらコーディネートします”というスタイルで、結婚式場から仕事をもらったり。ただ、当時は個人事業主では信頼してもらえない時代で難しかった」と、渡邉さん自身が歩んできた道を振り返ってくれました。
人水 JINSUI  常滑焼 急須
さまざまなバイトをしながら生計を立てて過ごす中、父親が守ってきた釜屋「人水陶苑」を受け継ぐことになったのは、渡邉さんの転機と言えるのではないでしょうか。
「はっきりしたことは調べられていないのですが、江戸時代の1800年頃に釜屋として創業。ずっと焼き物というカテゴリーでしたが、祖父の代から人水陶苑(じんすいそうえん)として急須作りを始めたんです。そして2014年、代替わりのタイミングで法人化し、株式会社人水(じんすい)になりました」と教えてくれました。
人水 JINSUI  常滑焼 急須
200年以上の歴史の中で、生業を陶器を焼くことから急須を作ることへ。そして今、さらなる進化としてオリジナルの急須を作りながら、現代に合わせたデザインと売り方へ大きく舵を切ろうとしています。


古い考えが衰退の理由。何を言われようと突き進む
現在、渡邉さんはデザイナー、営業責任者、経営者の三刀流でフル稼働。急須をより魅力的な物にしたい、もっとたくさんの人に届けたいという強い想いを胸に、改革者としていばらの道を歩まれています。
「今まで、常滑焼きは地場の問屋さんにしか出せなかったんです。変なところに並べられたり、値段も安くつけられたりして、製造する側は儲からなかった。そこで、2年前ぐらいから問屋に卸すのをやめて、自分で販売ルートを作り始めました」と渡邉さん。今まで培ってきたものを壊してでも、変えなければならない! という強い信念を持って動き始めました。
人水 JINSUI  常滑焼 急須
日本では卸売業が発達し、社会や生活を支えてきました。しかし、交通網が整備されインターネットが普及する中で買い物のスタイルは大きく変化し、大量生産・低価格の物が溢れ、手作りの価値がないがしろにされてきたと言っても過言ではありません。
「陶磁器のコーディネーターさんが“JINSUIを紹介してください”と言ったら、問屋さんから“紹介できない”と言われ、直接連絡が来たことがあるんです。どうやら、常滑焼の歴史が始まって以来のワルって言われているそうです。でも、儲からないことはやらない。悪名無名に勝るっていうテーマでやってます(笑)。問屋さんの中でも価格が合ったら全力でやりますし、納期も絶対に守りますよ」と、苦労しながらも前に突き進む渡邉さんの姿に感動しました。 人水 JINSUI  常滑焼 急須


急須でお茶を飲む。日本の文化を世界へ!
「TOKIシリーズには急須作りの技術を活かしたランプシェードがあります。誰にも真似できないものを作ってみようという思いからで、ラインがすごく綺麗なんです」と渡邉さん。これは、食器というカテゴリ以外から急須にたどり着いてもらうための策であり、日本国内だけでなく、お茶を飲む文化のない世界の人に知ってもらうためのアイディアです。
人水 JINSUI  常滑焼 急須
他にも、贈り物や生活雑貨の見本市、ギフトショーにも出展するなど挑戦を続けられています。こうした販路の拡大は、売上や経営に直結するだけでなく、ブランドや産業の成長には不可欠と言えるのではないでしょうか。
「僕は、仕事は待つんじゃなくて“迎えに行く”と表現しています。作るのに追われて外に出れないという話は聞きますが、デザインも営業も社長業も、新しいことを始めるための時間を作り行動しています。誰かに評価してもらえた時は嬉しいですが、それを求めて動くって変だなと思っていて、自分を肯定する、自分を評価できるのは自分しかいないと」と、仕事の流儀も教えてくれました。
人水 JINSUI  常滑焼 急須
また、「仕事を見て、すごく楽しそうで良い生活しているって思ってもらいたい」と話し、技術を育てることはもちろん、働きたいと思ってもらえる職場環境作りにも全力で取り組んでいることを感じることができました。そして、渡邉さんは「6,000個くださいと言われて、“はい、できますよ!もっとできますよ!”と返事をしたい」「商品を見てもらって、どこに出しても恥ずかしくないものを作る」「急須と言ったらJINSUIというポジションを掴みたい」と目標を語ってくれました。
人水 JINSUI  常滑焼 急須


高品質な急須作りへのこだわり、日本の文化として急須を世界に届けたいという強い想いが感じられる取材でした。
印象としては、デザイナー、アーティストのような側面をお持ちの渡邉さん。目指すところに進むパワー・推進力、そしてブレない軸、話しているとぐいぐい引き込まれるような魅力をお持ちの職人さん。
だからでしょうか、JINSUIの商品からは、渡邉さんのこだわりとものづくりの魅力が漂うような、引き込まれる印象を受けます。
これからますます沢山の、ものづくりの魅力を漂わせた素敵な商品を生み出されるのだと感じています。今後もとても楽しみな職人さん、ブランドです。
急須でお茶を飲むのは日本の文化。ぜひ、日本の茶葉とJINSUIの急須でお茶を飲んでみてください。
渡邉さん、JINSUIの皆さま、取材のご協力誠に有難うございました。









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