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夢咲花 | cobcob



cobcob ボールペン ブランド紹介


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奈良県桜井市で林業を生業としながらも木の加工も行う夢咲花が出がけるcobcob。林業をしているからこそできることがある。山を愛し、木を愛するからこそ見える魅力を様々な商品にして届けます。      



夢咲花取材記



今回訪れたのは、奈良県桜井市にある工房「夢咲花(ゆめさか)」です。
工房のまわりは背の高い“吉野杉”に囲まれており、森から吹き抜けてくる爽やかな風が、優しく出迎えてくれました。
夢咲花
お話をお伺いしたのは、林業を営みながらハンドメイドの木工商品を手掛ける、職人の森本英雄さん。
夢咲花
森本さんは、吉野杉のなかでも希少な『コブ』という部位を使って、ボールペンを作っています。
夢咲花
一番の特長は、なんといってもその香り。
パッケージの試験管を開けた瞬間、杉ならではの清々しい香りがふんわりと鼻腔をくすぐります。目をつむると、まるで吉野の山のなかで森林浴をしているような気分に。
夢咲花
PCやスマホの普及により、文字を書く機会が減ってしまった現代だからこそ。杉の香りを楽しみながら文字を書くひと時は、ある意味とても贅沢な時間と言えるでしょう。
自然に育まれた不規則な木目が美しく高級感があるので、目上の方へのプレゼントとしても人気です。

今回の取材では、ボールペン誕生の秘話はもちろん、時代に伴って移り変わる林業の歴史から現状まで、いろいろお伺いしてきました。

取材中とても印象的だったのが、森本さんの言葉の端々から感じる、木に対する深い愛情。この取材記で、みなさんにもその想いをお届けできたら嬉しいです。


吉野杉の魅力とは?
林業に詳しくない人でも、“吉野杉”という言葉を耳にしたことはあると思います。

吉野杉は、日本を代表する木材ブランドのひとつ。その名の通り、奈良県の吉野地域で育てられた杉のことです。まっすぐ流れるような木目、美しい色味、心地よい香り。その質の高さから、全国的に名を知られています。

「吉野林業は、木を細かく植えて間伐します。いい木を残して、悪い木を切るという形ですね。吉野は木材消費地の大阪が近いし、吉野川の水運もありましたから、林業が発展したんです」と語る森本さん。
夢咲花
「うちが林業を始めたのは祖父の代から。少しばかり山があるんで、木を育てて切って出すところまで、総合的にやっております」


日本の暮らしに寄り添ってきた、木材
吉野杉と聞けば、一般的に高級建築材や家具としての利用を想像しますが、「杉の用途は広いんですよ」と森本さんが教えてくれました。

「昔は、プラスチック容器がなかったんで、醤油樽とか酒樽とかを作るのに杉が使われていました。戦後は薪の需要が高かったので、ぼくらが小さい時分は、杉の枝を薪にして売っていました。親父の代では、炭焼きもしていましたね。燃料が変わるまでは、炭も大事な商品だったんです」

私たちが現在当たり前のように使っているプラスチック容器やガスなどが登場するまで、日本人の暮らしは木材が中心でした。しかし、時代とともにライフスタイルが変わり、木材の用途も移り変わっていきます。主力である建築材としての需要も、近年は変化してきたそう。
夢咲花
「昔、お金を持っている人は良質な木材を使って家をこしらえたんですよ。今はそうやって凝って作る人は、ほとんどいません。立派な木材を使った床の間や床柱よりも、安い木材で作った押入れがほしいっていう声が多いですわ」


吉野林業が直面する、今
森本さんの木材は、現在どのような用途に使われているのでしょうか。

「まっすぐな良い木材は市場へ持って行きます。曲がったような悪い木材は、バイオマス発電(火力発電)に使います。うちはなるべく林道を作って機械を入れて木を持ち出していますが、山の深いところだと道が作れません。そういうところはヘリコプターを使って運ぶんですけどね…最近はその値段もかなりあがってきまして。よっぽど質の良い木材じゃないと、採算に乗らんのですよ」と森本さん。
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そのため最近は、市場で売れない曲がった木を切り倒して、そのまま山に放置する人もいるとか。
「そんなことしてたら、山がぐちゃぐちゃになってしまう。あんなん見ると、木がかわいそうに思いますね…」

全国的に有名な吉野林業も、厳しい現実に直面しているようです。また、後継者不足や作業員の高齢化も問題になっています。
「うちは息子が林業を継いでくれました。昔やったら、そんなにバタバタ忙しくせんでもよかったんですけどね。今はバタバタしないと、やっていけないようになってますわ(笑)」


杉のコブに、惹かれて
森本さんが林業のかたわら、木工商品づくりを始めたきっかけはなんだったのでしょうか。

「もともと、杉の『コブ』を集めてたんです」と森本さん。
コブとは、吉野杉自身が何らかの理由で傷ついた部分を守ろうとして作り出す膨らみの部分。人間でいうと『かさぶた』のようなものです。
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「コブの木目は、通常の杉の木目と違って不規則なんです。これが、表情豊かで面白い。香りも、普通の杉の数倍ぐらいあります。でもコブは加工しにくくて、ビジネスとして売れる部分じゃないんです。けど、なんか利用できないかな~と思って。山へ行ってコブを見つけたら、もったいないから持って帰っていたんです」


コブを生かした、商品づくり
ところがある日、森本さんは突然大きな病に襲われてしまいます。
「あの時は、片足を棺桶に突っ込んだと思ったね。でも足を引っ張ったらすぽっと抜けたから、戻ってきましたわ」と、元気に笑いながら話してくれた森本さん。現在は完治していますが、当時は障害や後遺症が残るのではと言われていました。

「もうあかんと思いましたね。病気の後は動くのも怖かった。でも林業で木を扱ってるし、なんか作るくらいはできるかと思って、木工旋盤を導入したんです」

そのとき目に留まったのが、以前から持ち帰っていた杉のコブ。割れやすいので大きな商品を作るのには向いていませんが、小さい商品なら作れそうだと森本さんは考えました。そうして誕生したのが、ボールペンです。 夢咲花
最初はまったくの手探り状態ではじめた、商品づくり。塗装に挑戦しようと専門学校に通ったり、HPを作ったり、商工会に入ったり。試行錯誤するうちにさまざまなメディアで取り上げてもらえるようになり、ボールペン制作も少しずつ軌道に乗り始めます。


手元で楽しむ、木目と香り
夢咲花工房の一番の強みは、なんといってもコブという素材です。市場に出回らない希少な部位を手に入れることができるのは、林業をしている森本さんならでは。
「この地におるんやから、この地にあるものを使うのが道理やと思うんですわ」と森本さん。
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コブ特有の美しい木目と豊かな香りをそのまま生かしてボールペンにしているので、手で触れて、握って、ダイレクトにその風合いを楽しめます。使い込むほどに杉独特の油分がにじんで、どんどん味が出てくるのもポイント。
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そんな森本さんのボールペンに、すっかり惚れ込んでしまった私。その魅力をもっとたくさんの人に届けたいと思い、試験管を使ったパッケージやネーミングといった部分でお手伝いをさせていただきました。みなさんの心に響くと嬉しいです。


1本のボールペンが、できるまで
ここからは、実際にボールペン制作の流れを見ていきましょう。すべての作業を森本さんがひとりで行っているというから驚きです。
夢咲花
こちらは、旋盤で削る前。カットしたコブに穴をあけて、真鍮のパイプを接着した状態です。
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「最初は、ボールペンの上部分と下部分を分けて準備します。コブはそのままだと割れたり欠けたりしやすい素材なので、上下一体で作ろうとするとロスが出やすいんですよ。なので上下別々のコブを使って、よく似た木目同士を組み合わせて一体化させます」
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ここからいよいよ、旋盤をかけていきます。機械を回しながら少しずつ削っていき、指で触って確認しながら、また削る。これを繰り返して丁寧に形にしていきます。すべて手作業のため、ボールペンを1本作るのに想像以上の時間と手間がかかっていました!
夢咲花
紙やすりを何種類も使い分けて細かく磨き、なめらかに仕上げていきます。
夢咲花
あらかた削り終わったところで、サンディングシーラーを塗ります。
「顕微鏡で見ると、木にはみんな穴が開いているんですよ。これはその穴を閉じるために塗ります。それによって表面がキレイになるし、汚れにくくなるんです」
その後も再び紙やすりをかけ、毛羽立ちをとります。
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削り終わった状態がこちら。元はごつごつとした四角いコブが、つるつるとした心地よい肌ざわりに変化しています。まるで魔法のようです!
夢咲花
その後、芯や金具などのパーツを機械で圧入するとボールペンが完成。
夢咲花
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有料で、名前を入れるレーザー加工もできます。自分の名前や贈る相手の名前を入れると、愛着もひとしおです。


吉野杉を、愛しているからこそ
今まで利用価値がないと思われていた、吉野杉のコブ。それがこんなに美しいボールペンになるなんて、誰が想像できたでしょうか。
吉野杉を愛し、吉野杉とともに長年生きてきた森本さんだからこそ、生み出せた逸品だと思います。
夢咲花
忙しい毎日に追われ、騒がしい都会の中で暮らす私たち。
そんな中でもこのボールペンを使うことで、少しでも自然とつながり、リラックスできる瞬間が届けられたら幸いです。

長い間お話をお伺いさせていただき、ありがとうございました!



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