ブランド紹介
Beret is flamingo
1967年に熊本で創業したBeret is flamingo(ベレー・イズ・フラミンゴ)は、
「Beret is flamingo」が守り継ぐ
大阪に本社を置く株式会社ヨシダは、ベレー帽の生産力で国内随一を誇る老舗帽子メーカーです。
「Beret is flamingo」は株式会社ヨシダがこだわりを詰め込んだ自社ブランドの名称です。
その帽子作りの舞台となる工場は、熊本県は阿蘇山系の、水脈豊かな場所にあります。
今回は工場にお邪魔して、代表の吉田社長にお話を伺いながら、ベレー帽作りの現場を見せていただきました。
熊本工場の外観
受け継がれてきた、ベレー帽づくりの歴史
株式会社ヨシダの前身となる会社の創業は1967年。
はじまりは、創業者である橋本繁雄さんが、手横編み機を自作したところからだったそうです。
「創業者が戦後、知り合いのおじいさんが手編みでベレー帽を作ってるのを見て、
『もっと効率よく作れないか』って考えて、ベレー帽の編み機を開発したそうなんです。」
電気工事の心得があったという創業者の手により、日本で初めてのベレー帽編み機が誕生しました。
その後は軍向けの需要などを背景に生産規模が拡大し、海外への輸出も行われるなど、ものづくりの技術は広く活かされていきます。
現在の「株式会社ヨシダ」に至るまでには、様々な紆余曲折があったのだと、吉田社長は話してくださいました。
右が吉田社長、左が奥様
「もともと私は帽子の原料を扱う会社に勤めていて、材料を納める立場としてこの工場と関わっていたんですよ。その後、ご縁があり養子として事業を継承して、今に至ります。」
材料を届ける立場から、作り手の立場へ。そのご縁がなければ、今のこの工場の姿もなかったのかもしれません。
半世紀以上にわたって受け継がれてきた、ベレー帽づくりへの情熱と技術。
一見するとただの帽子でも、そこには長い歴史と、ものづくりへの沢山の想いが宿っているのだと感じました。
ひとつの帽子が手元に届くまでに、こんなにも多くのストーリーがあるのだということを、ぜひ知っていただければと思います。
数少ない「一貫生産」の現場で支える品質
社長が工場と関わり始めた当時は、中国製品の台頭により、海外での生産が急速に広がっていた時期だったそうです。
価格競争も激しく、国内で作り続けることは容易ではない状況でした。
実際に、海外に工場を設けて生産に取り組んだ時期もあったそうですが、
品質を一定に保つことの難しさや、現地での管理体制を整えることの大変さから、その取り組みは長くは続かなかったと言います。
こうした経験を経て、同社は国内でものづくりを続けていく道を選び、現在は熊本の工場を中心に、
質にこだわりながら製造を続けておられます。このものづくりへのこだわりから生まれた判断が株式会社ヨシダの強みともなっていきます。
株式会社ヨシダの大きな特徴のひとつが、染色・編み・縫製といったすべての工程を一つの工場で完結できる「一貫生産体制」にあります。
「工程ごとに分業されているところが多いですね。それに対して、ここでは小回りが利くんですよ。」
熊本工場では各工程がひとつの場所でつながっているため、途中で細かな調整を行いやすく、
仕上がりに対して柔軟に対応することができるのだと、吉田社長は教えてくださいました。
たとえば、編みの段階での仕上がりを確認しながら、その後の加工方法を調整することも可能です。
現在は、アパレルブランドなどからの依頼を受けて製造を行うOEMも多いという同社。
依頼主の想いに寄り添いながらひとつひとつ応えていく。
一つひとつの工程に宿る、手間と技術
ベレー帽が完成するまでには、実に多くの工程と、細やかな手仕事の積み重ねがあります。
取材でその工程をひとつひとつ見せていただくなかで、「帽子ひとつにこれほどの手間がかかっているのか」と、思わず見入ってしまいました。
「機械でできること」を最大限に活用しつつ、被り心地や質感に関わる重要なポイントには徹底して「人の手」と「時間」をかけるという、極めて丁寧なものづくりをされています。
帽子の種類によって細かな工程は異なりますが、今回は吉田さんの工場で行われている工程を、ご紹介いただいた順にお伝えしていきたいと思います。
【芯材圧着】
柔らかな生地だけでは形を作ることが出来ないので、まずは生地に芯材を圧着します。
例えばツバの部分にはUVカット機能がある芯材を採用するなど、帽子のどの部分に使うかによって芯材の厚みや種類を変えているそうです。
形状や機能を丁寧に考えた上で、芯材も選ばれているのですね。
【裁断】
次に生地を重ねて裁断し、パーツごとに分けていきます。
ここで裁断されているのは、この帽子の内側の生地ですね。
【縫製】
縫製が必要な商品とそうでない商品がありますが、ここでは最終段階の仕上げの作業をされていました。
縫製をしながらも、入念に商品の検品も行います。
【編み工程(最新式)】
編みの工程では、コンピューター上で設計された柄や構造のデータをもとに、オリジナルの専用機械で編み上げていきます。
この機械では、写真の帽子のように複雑な模様や編み目も生み出すことができます。
帽子は平面ではなく立体であるため、上部に向かって目の数を減らしていくなど、あらかじめ立体的な形を考慮した設計が必要です。
奥に映っている機械がホールガーメント(一体編み)をする編み機です。
この機械で編み上げると、写真内で手に持っていただいてるベレーのような形状になります。
機械が動き出すとなんとたった30分ほどで、帽体(帽子のベース部分)の生地が完成するそうです。
ただおもしろい事に、職人がほぼ関わらずに編みあげることができる最新式の編み機は、1枚を編むのに約35分ほどかかるのに対し、
いわゆる旧式の機械で熟練の職人が関わる必要がある織機で編み上げると約7分〜8分程度で仕上がるそうです。
最新のコンピューター機よりも、職人の手作業が関わるほうが出来上がりは早くなるのだそうです。
【編み工程(旧式)】
こちらが旧式の編み機です。
旧式編み機は設定や準備が難しく、誰でも扱えるものではないので、新式のコンピューターの編み機と旧式の編み機はバランスよく併用されています。
こちらが旧式編み機で編み上げたものです。
最新の編み機で編んだものは端どうしが繋がっていましたが、こちらは繋がっていないので「リンキング」という繋ぎ合わせる工程に進みます。
*素材へのこだわり*
Beret is flamingoのウールベレー帽には、100%ウールを採用しています。
対して、他社の多くはハリやコシを出すために、ポリエステルを混ぜているのだといいます。
ウール100%で同様のコシを作るために、Beret is flamingoでは素材を厳選したり、
プランキング(揉み工程 あとで紹介しています)と呼ばれる揉み工程を増やしていたりと、手間と工数のかかる様々な工夫を行っています。
ポリエステルを混ぜるとそういった工程は不要なのですが、工程を工夫する事によって生みだす100%ウールの品質にこだわりを持っています。
【リンキング】
編み上がった後には、「リンキング」と呼ばれる工程を行います。
これは、編み目同士をつなぎ合わせていく作業です。
円に沿って3つほどの帽子を並べ、一度にリンキングすることができるのだそうです。
編み目をひとつひとつ確認しながら、人の手でリンキングの機械に通してそれらを繋ぎ合わせることで、
先ほどまでは繋がっていなかった端と端の部分が繋ぎ合わさり、帽子の形状に近づきました。
ビフォア
アフター
一目でもズレると商品にならないので、とても大事な工程です。
リンキングは通常のミシン縫いと違って網目同士を繋ぐため、「縫い代」が発生しません。
これにより、被った際のゴツゴツとした違和感がなくなり、美しいシルエットとかぶり心地の良さが生まれます。
非常に繊細で、熟練した技術が求められる工程なんですね。
実際に作業を見せていただきましたが、その集中力と手際の良さには思わず息を飲みました。
職人さんの培った技術が、一つの帽子の「かぶり心地」を支えているのですね!
リンキングを終えたベレー帽は、頭頂部にはまだ穴が開いた状態なので、それを手縫製で埋めていきます。
綺麗に埋まりました。
チョボ付きベレー帽のチョボも、つける時はこの工程で行います。
このあとのフェルト加工であの「ベレーっぽい形」に変化します。
【フェルト(縮絨)加工】
続くフェルト加工(縮絨)の工程では、約50℃のお湯の中で、圧力と摩擦をじっくりとかけながら生地を縮ませていきます。
こうする事で、ふんわりとしたやさしい肌ざわりと、柔らかな質感が生まれるのだそう。
一気に長時間かけてしまうと縮みすぎることもあるそうで、状態を確認しながら洗いにかけます。
同じ工程を経ても、毎回まったく同じ仕上がりにはならない。その微妙な差を読み取りながら対応できるのが、
職人さんの経験の賜物ですね。
こちらが脱水後の状態です。ウールの繊維が絡まり、ギュッと縮んで丈夫になりました。
だいぶベレー帽に近づきましたね!
【染色工程】
フェルト加工(縮絨)に続く染色の工程でも、こだわりは随所に見られます。
ここでは職人が染まり具合を確認しながら、目的とする色味に合わせていきます。
豊富なカラーバリエーションを誇るBeret is flamingoでは、発色の美しさにこだわり、
染料を調整したうえで、地元熊本の阿蘇山系地下水を使ってじっくりと時間をかけて染め上げています。
染色の際は、製品の表と裏の向きを揃えておくことも重要なポイントなのだそう。
表と裏では色の入り方に微妙な差が生まれるので、全体として均一に見えるよう、あえて裏側を濃く染めるなどの工夫をしているためです。
さらに、濡れている状態と乾いた状態では色の見え方が異なるため、仕上がりを想定しながら色を調整していくという、繊細な感覚と経験が求められる工程でもあります。
カラーの見本と照らし合わせながら、丁寧に進めていきます。
【揉み工程(プランキング)】
この工程はあまり見たことがないものでした。一般の方も未知の工程だと思いますので、順を追って画像で紹介します。
染色を終えたベレー帽の形を整えて
綺麗に並べて
丸めて
機械に入れる
こうして上下からローラーではさみながら圧力をかけていき、揉みます。
不思議ですが、取り出したベレー帽はこれまでとは少し風合いが異なり、全体にコシがでたような感じになりました。
左が揉み工程前で、右がその後。
繊細なウールを素材に採用するとこうした工程に手間と時間がかかるので、
ポリエステル混で硬さを出すケースが多いそうです。
【乾燥・仕上げ】
染色後は、乾燥・整型の工程へと進みます。
金型に帽子をセットする様子
しっかりセットしベレー帽を乾燥機に入れていきます。
乾燥を終えれば素早く型から外して、形を整えて、仕上げの工程に進みます。
商品によって形状をより安定させたい場合は高温乾燥後、すぐに形を水で冷まして、形を定着させます。
【最終仕上げ、検品】
その後、なめらかな質感に仕上げるため、仕上げに表面をひとつずつバリカンで丁寧に刈り揃え、毛羽立ちを取り除きます。
そして、最終工程では色ムラや不良がないかを細かく確認します。
不具合があればその場で修正し、最後に検針機によって異物の混入がないかをチェックして、ようやく完成です。
純日本製のベレー帽作り
編み立てから完成するまでに、本当に多くの職人の手と工程を経て、一つのベレー帽が仕上がっていきます。
けれど、それによって失われる風合いがあります。
失われた技術は簡単には戻せません。
簡素化され続けて失われていく技術が沢山ある現代だからこそこうした日本のものづくりの良さ、
こだわりは大事にしたいと改めて感じました。
それに沢山の職人さんたちの手を渡りながら大事に作り上げられたベレー帽の方が永く愛着を持って大切にできるような気がします。
「Beret is flamingo」の帽子作りへのこだわり
今回ご紹介した株式会社ヨシダの熊本工場で作られているのが、
日本いいもの屋でもお取り扱いしている「Beret is flamingo」のメリノウール バスクベレーです。
メリノ種の羊から採れるこの素材は、繊維が細く、やわらかな肌ざわりが特長です。
こうした素材の持ち味は、製造工程のひとつひとつを丁寧に重ねることで、初めて最大限に引き出されます。
『Beret is flamingo』のベレー帽が長く愛され続ける理由は、素材選びからすべての工程が、
妥協なく積み重ねられていることにあるのかもしれません。
今後も、この素材と工程へのこだわりを変えることなく、長く寄り添えるベレー帽を届け続けていくこと。
それが「Beret is flamingo」の変わらない姿勢。
お気に入りの帽子というのは、なぜかずっと手放せないものですよね。
Beret is flamingoの商品一覧
国内随一のベレー帽の生産力を誇る帽子メーカーです。
国内で唯一、帽子製造の全工程を自社で一貫して行っています。
環境に配慮した素材や染色方法による、サステナブルな帽子づくり。
四季折々に合わせた豊富な素材とカラーバリエーションが特徴で、
ベレー帽の可能性を広げる自由な発想のデザインが、おしゃれを楽しくしてくれます。
ベレー帽作りのこだわり
戦後の混乱期に、「良いものを、もっと多くの人へ」という想いを形にしようとした姿勢が、帽子作りの原点だったのですね。
しかし時代の流れとともに、円高の影響によって輸出が減少するなど、事業環境は大きく変化していきます。
現在、国内でこのような体制を維持している工場はごくわずかで、その存在自体がとても貴重なものとなっています。
何かうまくいかないことがあったとき、その場ですぐに確認して手を加えられる。
そのスピードと細やかさが、品質を守る大きな力になっています。
染色や仕上げの工程でも、素材や状態に応じて細かな変更が加えられます。
分業体制では難しい、きめ細やかな対応ができるのが、一貫生産の大きな強みです。
ブランドごとに求められる形や風合いが異なるため、それぞれに合わせて工程や素材の選び方も丁寧に変えていきます。
ベースが同じ製品であっても、最終的な仕上がりは細やかな調整の積み重ねによって大きく変わるそう。
帽子一つひとつに真摯に向き合っていくことが、そのまま「製品の品質」として手にする人へ届いていくのです。
生地と芯材を、熱と圧力によって貼り付けていきます。
2時間ほど時間をかけて回転させながらじっくりと洗浄するのですが、水量や水の動きが仕上がりに影響するので、
その都度微調整を行います。
見た目も触感も、驚くほどに変わっていました。
現在多くのベレー帽ではこの工程は省かれているようです。
それでも、Beret is flamingoではこうしてフェルト加工の工程や染めや揉みの工程でも丁寧に手間をかけることで、
ベレー帽のコシやハリを生み出し風合いを調整します。
ウールの素材を生かした、本来のしなやかさが引き出されるとても大切な工程です。
風通しの良い屋外で自然乾燥をさせた後、
乾いた帽子を金型にセットして160℃ほどの電気乾燥機で乾燥させながら形をしっかりと定着させます。
効率を重視する考え方からすると非効率なのかもしれません。
ポリエステルを使えばいいし、機械にもっと任せればいいと思う方もいるかもしれません。
少しの差かもしれませんがその積み重ねが何年何十年経つにつれて他との大きな違いにつながってくるはずです。
その名の通り、メリノウール100%の糸を使用して作られています。
保温性の高さはもちろん、湿度を調節する性質も備えており、季節を問わず快適な被り心地を保ってくれます。
さらに吸湿性・防臭性にも優れ、汗をかいてもベタつきにくく蒸れにくいのも、メリノウールならではの強み。
縫い目をひとつずつ手作業で合わせるリンキング、地元熊本・阿蘇山系の地下水を使った染色、そして職人によるバリカン仕上げ。
それぞれの工程に確かな理由があり、手間を惜しまないことが、そのまま品質へとつながっているのですね。
それはきっと、形や素材の良さだけではなく、職人さんたちが積み重ねてきた技術が、
見えないところでちゃんと伝わってきているからかもしれません。
平日 : 9時〜15時頃
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