ブランド紹介

漆琳堂


漆琳堂で手がけるのは異なるコンセプトの3ブランド
漆琳堂・RIN&CO・aisomo cosomo




漆琳堂 ブランド紹介
- 漆琳堂 -
美を塗る。藝を重ねる。
越前漆器は伝統工芸品であると同時に、日々の暮らしで使われる生活道具でもあります。
美しさと堅牢さを兼ね備える漆器をいっさいの手間を惜しむことなくつくり続ける。
それが漆琳堂の永代変わらぬ矜持です。

RIN&CO. ブランド紹介
- RIN&CO. -
わたしたちRIN&CO.が大切にしているのは北の地で考えられ、北の地で受け継がれてきた、北の地ならではのものづくり。

暮らしに自然と溶け込み、毎日をより上質に、より豊かにする道具をつくり続けること。
それがわたしたちの仕事と考えています。

aisomo cosomo ブランド紹介
- aisomo cosomo -
多くの人に、幅広く、うるしを使って欲しい。

そんな想いから福井県の漆琳堂が立ち上げたブランドaisimo cosomo。
その色使いと独特の風合いは印象的で、見る人を惹き付けます。

業務用漆器の製造をしてきたからこそ培った技術と経験に
裏打ちされた確かな商品を創り出します。




漆琳堂 取材記 (2022年ver)





今回の漆琳堂さんのインタビュー取材は2回目。「日本いいもの屋」創業当初の2014年頃、まだ日本いいもの屋のページも十分にできていなかった何者でもなかった私にも快く対応していただいたことは今でも鮮明に覚えています。

よろしければ2014年に取材させていただいた際の取材記もご覧ください。
漆琳堂さんの旧取材記へ

今では内田徹(うちだとおる)さんは漆琳堂八代目。勝手ながら一緒に成長してきたように感じていまして、ここであらためて漆琳堂さんのこれまでの変化とそしてこれからを取材記にさせていただきたいと訪れました。



さらに今回はまさに漆琳堂さんの変化の象徴である、若手職人さんの中でも今年入社されたばかりの山西夏美(やまにしなつみ)さんに取材もさせていただきました。

とはいえ、みなさまにはこの記事から見ていただいても楽しんで読めるよう、背景も含めあらためてご紹介していきたいと思います。


家族経営ではじまった塗師屋のストーリー

漆の樹液の特質を生かした伝統工芸品、越前漆器。福井県鯖江市河和田地区にある「漆琳堂」は、料亭などで使われる業務用の越前漆器づくりからはじまり、現在は家庭でも常用しやすい漆器を製造をされていらっしゃいます。

漆塗りは夏場と冬場の季節に応じて温度の調整が必要な伝統工芸です。湿度で固まる独特の性質を持っています。

「冬場は朝5時ぐらいから暖房をつけておかないといけない」そう教えてくださった内田さん。日本最古の漆器産地、福井県鯖江市で越前漆器の製造販売をされていらっしゃいます。


▼内田さん

川と田んぼがあり山に囲まれた曇天の多い気候の福井県は、まさに漆器づくりに適した環境。内田さんが入社した当時はご両親と3人で働かれていらっしゃいましたが、世代交代のことも考え若手の職人を育てるようになられました。

当時の仕事の流れを振り返り、こう話します。



「昔は毎朝、どの作業をするのか、家族で決めていました。今は1週間分の予定をあらかじめ決めています。時間を無駄にしないように」

数年前取材にうかがった際はまだ内田さん、お父様(当時の代表)、お母様でお仕事をされていました。

注文も増え、小さな工房だった時代に比べ忙しくなり、仕事のされ方も変わり、社内の雰囲気も全く違うものになっていたのはとても印象的でした。

こちらの画像はとても綺麗な漆琳堂さんのショールーム、当時は漆琳堂さんの会社の建物も全く違っていて、、その辺りは以前の取材記もぜひご覧ください。

漆琳堂さんの旧取材記へ


▼漆琳堂のエントランス


「ものづくりの魅力を広めること」が次のステップ

眼鏡の産地としても有名な鯖江市ですが、周辺の金沢駅では兼六園、福井駅では恐竜博物館と近隣にメインスポットがあるなか、鯖江市の観光産業をどのように発展させていくのかが、現在の課題だと語ってくださいました。

鯖江市の地域づくりの1つとして、2015年からはじめたイベントがあります。それが福井県鯖江市・越前市・越前町で開催される持続可能な地域づくりを見据えた工房見学イベント「RENEW(リニュー)」。内田さんは中心人物のひとりです。
写真:Tsutomu Ogino(TOMART:PhotoWorks)

漆器・眼鏡・和紙・刃物・箪笥(たんす)・繊維・焼き物など、つくり手の想いや技術を知れる貴重な機会として毎年イベントが開催されています。一般の方は工房内の見学など、普段目にできない場面を楽しめます。

内田さんを始め地域の方は、越前漆器以外の魅力を発信させるべく、奮闘されています。内田さんが展示会に行ったり、工房を空けてる間は若手の職人さんがリーダーとして仕事を管理されて後継者の育成も順調です。今年もまた2人の漆職人が入社し、活気づく工房。

こうして文章にすると簡単に聞こえますが、独自で後継者を育成するというのは本当に本当に大変なことで、さまざまな産地・作り手さんをうかがっていますが、漆琳堂さんの変化・成長は理想系なのでは、と感じています。

さてそんな漆職人、漆琳堂さんの採用基準としてはどんなことが重視されているのでしょうか。




現代の職人に求められるもの

「コミュニケーションが取れる人を重視しています。職人と聞くと、人と関わらず寡黙に作業をするイメージがあるのか『面接をしても全然喋らないな』って人もいて。何に困ってるのかわからないので、喋りすぎるぐらいの方が良いです (笑)」 。

返ってきたのは意外な答え。一見コミュニケーションはそれほど必要ないように思う職人ですが、漆琳堂さんでは全く逆の答えでした。

現代の職人さんはただ作るだけではなく、職人さん自身が伝えることも大切になってきていると感じます。もしかするとこの答えにはそんな側面もあるのかもしれません。 漆器のお椀を塗るさいに使用する道具の刷毛(はけ)、は引き方や流れは教えられても、力加減など感覚は自ら習得するしかありません。はじめて教える工程は動画を撮るよう指示し、目で学ぶように。指導方法は現代的です。



例えば、「私が1日100個塗るところを、最初のうちは1日10個を確実に塗ることを目標にさせています。最初から若手の職人にスピードを求めません」

1人2人と職人が増えるたびに、内田さんの教え方も向上したと振り返ります。「入社1ヶ月目で苦戦するポイントなど、ある程度は想像できるようになりました。『あの子も同じポイントで立ち止まっていたな』と思い出す」と、育てる側の変化もあったようです。


漆1滴1滴を越前漆器へ仕上げる、職人の舞台裏

次に越前漆器が仕上がるまでの工程を見学させていただきました。

漆は1本の漆の樹からわずか200gしか採れない大変貴重な樹液です。漆は塗料としてはもちろん、強力な補強材や接着剤の役割も果たします。


▼金継ぎ

陶器の修理に漆を活用した技法を「金継ぎ」と呼びます。漆と金で修復された陶器はよりいっそう価値が上がります。「料亭で出された陶器が金継ぎがされていると陶器を大切にされていらっしゃるんだ」と思われているそう。

続いて「漆漉し(うるしこし)」と呼ばれる部屋へ。



▼漆

九谷焼き(くたにやき)に入った漆は乾燥させないようにサランラップが使用されていますが、物が無かった以前は和紙に油を染み込ませたものを被せる工夫がされていたようです。



驚いたのは漆琳堂の検品の基準、これは私たちの想像をはるか超えた高いものでした


▼検品の際にひっかかったお椀(白い箇所は目印)

検品に引っかかった漆器は、素人には見つけられないほどの点(白い部分は、目印)。実物を拝見していましたが、よーく見て少しわかる程度の点でした。最後まで手をいっさい惜しみません。



最後に案内いただいたのは、塗りの部屋。こちらでは若手職人さんたちが集中して塗りの作業をされています。

これまで一貫して柔和な内田さんの印象が、塗りの部屋では一変したように感じました。作業をされる方の集中力を途切れさせないよう、そして埃が舞って塗りに入ってしまわないようにかなりの気を遣われている様子。

取材する側としても、ご迷惑をおかけするわけにはいかないので、ここでは一際緊張しました。



そしてこの奥がより繊細な塗りを行われる作業部屋。特別に静かにそっと内側に入らせていただきました。


▼右側が内田さんのお父様、左が若手職人の中でもリーダー的存在の嶋田さん



別の部屋では塗りをしたものを特殊な器具で接着させて、漆の溜まりができないように回転させながら乾燥させていきます。とにかくたくさんの時間と手間がかかる漆器。最後の検品ではねられてしまうのはとても悲しいですし、もったいない。塗りの部屋での繊細な理由にも十分納得です。

最後に入社1ヶ月半の山西さんにお話を伺いました。


漆に触れていない自分を想像できなかった


▼山西さん

京都の芸大で漆について学んでこられた山西さんの趣味は、日本美術の鑑賞。現在は福井のシェアハウスで生活をしています。大学院まで漆を学ばれてこられ、豊富な漆の知識をお持ちです。

「高校の進路を決める頃から、芸術・伝統工芸・ものづくり、『表現』の道に進むと決めていました。新卒の若い職人を採用してくださることは、本当に有難いことで、恵まれていると思います」



ほかの職に就くことを考えることはなかったのか伺うと「漆に触れていない自分を想像できませんでした」と、迷いのない一言。想像していなかった回答にすこし驚きました。

関西が地元の山西さんにとって、鯖江市は地元とは全く異なる環境。福井県にはじめて訪れたとき、びっくりしたエピソードがあったそうです。

「最終面接ではじめて鯖江市に足を運びました。バスは一日6本。約束の時間まで喫茶店で時間を潰せばいいわと思っていたら・・・。まあ、何もない。洗礼を受けた覚えがあります 」

めまぐるしい変化にも対応できる適応力をお持ちでありながら、今ではすっかり鯖江市に馴染まれていらっしゃいました。


上塗りを任せていただけるようになりたい

取材当日の山西さんの主な仕事は、漆を塗る前の準備段階の作業。漆の底の部分についた汚れやホコリを綺麗に取りのぞき、漆を塗る段階へとつなぐ重要なポジションです。



「漆は油分を弾く性質があるため、すこしでもお椀の底に油がついていれば、綺麗に塗ることはできません。直接自分が漆を塗る作業に携わっていなくても、仕上げに携わる意識を持っています」


▼回転ブロ 機械式の設備でゆっくり回し漆を硬化させていく

「少しでも何か当たれば傷になってしまいますので、回転ブロからお椀を取り外すさいは、ぶつからないように慎重に取り外します。お客様に納品できる状態なのか、しっかりと検品も行います」

これからの目標を伺うと「目の前のことをこなすのに、今は精一杯ですが・・・早く塗りができるようになりたいです。今日も新しい工程を教えていただいて」と、嬉しそうな表情が印象的。



新しい環境に飛び込むのは勇気と覚悟が必要です。女性ひとりで福井県に移住し大変なこともあるなかでも、充実した日々を過ごされているようでした。


漆の多様性は、人の心を喜ばせる


写真:shitsurindo

「北の地のものづくり」が表現されたという、「RIN&CO.(リンアンドコー)」は、まるで温かい部屋の明かりを連想させるようなカラフルな色と使うたびに馴染みやすいお椀の形が魅力です。


写真:shitsurindo

食器洗い機にも耐えられるほか、現代の食生活に合うような常用しやすいデザインに仕上げられています。「越前硬漆(えちぜんかたうるし)」にほどこされた美しい刷毛目(はけめ)は、まさに職人技。

もちろん山西さんも愛用されています。

「福井を訪れたとき菜の花が美味しい時期だったのですが、RIN&CO.のピンク色の器に菜の花のおひたしを盛り付けたときは、春を感じましたね。」



漆職人の道ははじまったばかりですが、すでに職人としてのしっかりとした考えを持っていらっしゃる山西さん。これからも内田さんの背中を見て技を学び、次回漆琳堂へお邪魔するさいは、さらに素敵な職人さんへ成長されているにちがいありません。


工房にそっと置いていかれたお便り

取材が終了した数日後、お客様から喜ばしいお便りが届いたようです。

「漆琳堂で働く皆さま 貴社の漆器を愛用させて頂いています。 鮮やかな発色と手になじむサイズが、使う度に私の心を喜ばせてくれます」

この感謝の想いに対し、内田さんは 「こんな経験、こんなにも嬉しいことは就業以来始めてで、一生懸命漆を塗ってきて良かった。これからもこれを書いてくれた方に恥じぬよう頑張りたい」と、喜びもひとしおのようです。


▼お客様からいただいたお便り

人の心を喜ばせ、生活を豊かにさせる、それが漆琳堂ブランド。

物に感謝をせず、おざなりな扱いをすることが増えた現代。手間と時間を掛けて、一生懸命作る職人さんの想いは、しっかりと届いています。

今回あらためて取材させていただいて、私自身がこのお客様のように漆琳堂さんそして内田さんのファンなんだということを実感しました。漆琳堂さんや内田さんの周りに人が集まるように、ここから生まれる商品は人を惹きつけるものに違いないです。

数年で着実に成長されている漆琳堂さん。これからも魅力ある漆器を手がけられ、後継者も育成されながら、一歩づつ進まれていくのだと思います。



日本いいもの屋ではこれからも、ひとりでも多くの方へ越前漆器の良さと共に想いも届けていけるよう尽力してまいります。

内田さん、山西さん、漆琳堂の皆様、取材にご協力いただき、ありがとうございました。



| 製造現場ムービー |










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漆琳堂 色拭き漆椀

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漆琳堂 内塗り椀

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漆琳堂 小さな色拭き漆椀・大きな色拭き漆椀

小さな色拭き漆椀
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RIN&CO. 越前硬漆 刷毛目/椀S

越前硬漆 刷毛目/椀S




RIN&CO. 越前硬漆 刷毛目 / 平椀S

越前硬漆 刷毛目 / 平椀S









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aisomo cosomo こどものうつわセット 「kodomo」




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